シニアからの学び

介護・主夫業・花作り, etc. シニアから学びの日々が再び

私に家族のあり方を教えてくれた”アラン「幸福論」”の言葉

家族の問題に悩んでいたとき、私に家族のあり方を教えてくれたのが、アランの「幸福論」でした。この本には、「仕事は大事にするのに、何故の家族のことを大事にしないのか」など、随所に家族について、書かれています。

特に”35  家庭の平和”の内容は、思わず”そうなんだ!”とうなづきました。アランは家族のことについても、見事に分析し、解決策を提案しています。

でも、家族のあり方はとても難しいですね。国(アランはフランスの人)や日本でも、地域によって異なると思います。ちなみに沖縄は、旅行に言った際に「家族の絆」をとても大事にする所だと分かりました。

ここで、紹介するアランの言葉は、あくまでも、アランが理想とする家族のあり方で、私も同感した内容です。

 

『ふつう情念は目立つものだが、友情は隠れてみえない。しかも親密さが深まれば深まるほどますます避けることができない。それのわからない人はどうしても不幸となる。』

(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”35  家庭の平和”から)

これは、家族の平和を説明するまえの文章で、”友情”は”家族の愛”と変更しても良い文章です。友情、家族の愛は、深まれば深まるほど、情念(上機嫌、不機嫌の機嫌と考えても良いと思います)に隠れて見えないとアランは言っています。

私には、この言葉を読むまでは、家族の愛は、相手の気持ちを理解できることと考えていましたが、これは単純でしたね。相手の気持ちを理解するというのは、普通の人間関係では大事でも、家族ではあまり関係なく、それよりも、自分の感情を素直にだせるかどうかが大事だとアランは言っているように思えます。

そんなことしたらケンカになりそうな気がするのですが(これも単純な考えですね)・・・ それに釘挿すように、アランは最後の方で『家族の秩序は意志で作られる』とダメ押ししています。う~ん、さすがです。

 

『家族の中では、とりわけ家族どうしが深い愛情で結ばれている時には、気がねをする者も、仮面をかぶる者もいない』

(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”35  家庭の平和”から)

アランという哲学者は、本当に現実の世界をよく分析していると思います。この文章、単純なようで、なかなか奥が深いです。深い愛情で結ばれているときは、素の自分をだせるはずですと言っています。それでも家族が崩れないように、ここでも最後の方の言葉『家族の秩序は意志で作られる』がペアになっています。素の自分を出せるけど、きっちり意志で秩序を守りなさいと言っています。

 

『礼儀作法は親密なかかわりをもたない人たちのためにあり、機嫌は、上機嫌も不機嫌も、親密な者のためにある。』

(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”35  家庭の平和”から)

そうですよね、その通りです。上機嫌も不機嫌であっても、素の自分を出すのが、家族や真の友人だと言っています。

 

『家族の秩序とは法の秩序のようなものだ。ひとりでにつくり出されたものではない。意志によってつくり出され保持されているのだ。最初の動作がどんなに危険なものかを知っている人間は、自分のしぐさに規律を与え、こうして自分の愛着する感情を保つ。』

(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”35  家庭の平和”から)

最後に、この言葉を持ってくるとは、アランの見事な展開ですね。最初の方で、家族は上機嫌も、そして不機嫌であっても、素の自分を出していいよ! それが深い愛情だよと言っておいて、でもね、家族の秩序は、自分の意志で守ってねと言っています。

さらに、「最初の動作がどんなに危険なものか」とも言っています。素の自分を出してもいいよと言いながら、最初の動作には気をつけて!と言っています。つまり、かぞくであっても、いきなり怒るなどというのはダメと言っています。私は、嫁に対して不満があるときは、すぐに口に出してブツブツ言ってました。これはダメですね。

家族の平和は、素の自分を出したほうがいいけれど、意志で秩序を守り、思いつきのまま行動してはダメですよ とアランは言っていますね。

 

『ところで、取り引きや生産といった外での生活では各自みんな自己制御ができて、一瞬一瞬自分をとりもどしている。そういう場ではきわめてうまく行っていることが、私生活においては同じようには成功しない。だれでもみんな、自分の感情の上に横たわる。』

(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”36  私生活について”から)

アランの厳しい指摘は続きます。各自、外では自己制御ができているのに、私生活ではできていない、感情をそのまま出していると言っています。私でも同じですね。仕事ではきちんと自分の感情をコントロールしているのに、家では全くできていない、感情のままですね。

 

このようなアランの言葉から、家庭の平和は次の内容で守られると言っています。

家庭の平和=本音の自分+気配り(優しさ)+感情のコントロール

私には全然出来ていないね、反省大です。

 

私はアランの家庭の平和についての文章を読んで、少しは、家族のあり方が分かってきた気がします。ここまで理解するのに、いろいろ考えました。家族のあり方、いろんな考えがあると思いますが、私は、アランの言葉がしっくりきました。