シニアからの学び

介護・主夫業・花作り, etc. シニアから学びの日々が再び

考えが間違っていたことに何度も気づかされた「こころの処方箋」河合隼雄著

 臨床心理学者である河合先生の「こころの処方箋」、30年前に読んで、とても感銘を受けた本です。そして、70歳間際になって、もう一度読んでいます。今読んでも、素晴らしい本ですね。生きる上で大事なことを教えてくれます、まさに名著です。

 

 

各章の目次タイトルがドキッとさせられる内容になっています。例えば、

『人間理解は命がけの仕事である』

『ものごとは努力によって解決しない』

目次のタイトルでおゃ普通と違うぞと思わせ、本文でそのわけを説明していますが、その説明が素晴らしいです。

私なんかは単純だから、人間は理解できる、ものごとは努力すればなんとかなると考えますが、河合先生は、そのような普通の観点とは違う視点で、いやいや違うんですよと分かりやすく教えてくれます。

 

『うっかり他人のことを真に理解しようとし出すと、自分の人生観が根っこのあたりでぐらついてくる。これはやはり「命がけ」と表現していいことではなかろうか。実際に、自分の根っこをぐらつかせずに、他人を理解しようとするのなど、甘すぎるのである。』

(「こころの処方箋」 河合隼雄著 新潮社から)

このような説明を読むと、他人(嫁、子どもなどの家族も同じ)のことを理解するのは至難の技なんだなとつくづく感じます。私も会社を辞め、嫁と暮らすようになって、ますます、嫁が分からなくなりました。なんど考えても分からない。だから、河合先生は他人の理解は「命がけ」と言っているんだなあと改めて感心させられました。

 

『子どものためにできる限りの努力をした、などという人に会うと、この人は、解決するはずのない努力をし続けることによって、何かの免罪符にしているのではないか、と思わされることがある。』

(「こころの処方箋」 河合隼雄著 新潮社から)

私の娘は何年も引きこもりですが、アレコレいろいろやりがちですね。それで妙に満足している自分がいるような気がします。闇雲に努力することではなくて、どういう風に対応すればいいのか考え尽くさないとダメなんですね。これも「命がけ」かもしれません。

 

『それは、何の努力もしないで、 ただ そこ に いる、ということが恐ろしいばかりに、努力のなかに逃げこんでいるのではないか、と感じられるのである。』

(「こころの処方箋」 河合隼雄著 新潮社から)

そうなんですよ。「ただそこにいて見守ること」大事だと、ようやく、最近、分かってきました。見守ること、単純ですが、かなりパワーが必要です。これが分かるまで、何年もかかりました。

 

河合先生の「こころの処方箋」を読んで、今まで考えていたことが間違っていたことに何度も気づかされました。30年前に読んで、70歳間際にまた読んでみて、改めて、この本の素晴らしさを感じています。