シニアからの学び

介護・主夫業・花作り, etc. シニアから学びの日々が再び

認知症は本当に防げるのか? 85歳以上は2人に1人が認知症の時代に

私は、母が認知症(86歳の時に認知症と診断)になるまでは、一部の人が認知症になると考えていた。

しかし、亡くなった父は、亡くなる直前(88歳)の検査で認知症と分かり、義理の母も88歳で認知症と続き、両親+義理の両親の4人のうち3人が認知症。おやっ、もしかしたら認知症は歳をとると誰でもなるのかな?と考えてしまう。
 
厚労省の発表では、2025年には、認知症患者数は700万前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になると見込まれています。

しかし、もっとハッとする数値があります。85歳以上では、半数の人が認知症になるとも言われています。

つまり、夫婦であれば、両方共に85歳以上になれば、どちらかが認知症ということになります。

自分の周りの状況、予測された数値を考えると、85歳以上になったら、認知症になると考え、なったときに慌てないように準備しておくことが必要だと思います。

TVなどのマスコミでは、「どうしたら認知症を防げるか?」が話題になるが、これよりも「認知症になったらどうしたらいいか?」の方が現実的には有効かもしれません。
 
認知症は別世界 でも共存せざるを得ない世界

認知症の母を介護して思うのは、認知症の世界は、現実の世界とは違う世界であるということ。直前の記憶がなくなる、突然暴言をはく、見えない物が見えるなど、まだ認知症になっていない私からみたら、いつもエッ何で?と思うことばかり。

それでも母は、元気にご飯を食べて、TVを見て笑うこともある。

 

母を介護するまでは、認知症になったら恐ろしいと考えていたが、逆に、認知症の世界という別世界に住んでいると考えたほうが良いかもしれない。

そう考えないと、認知症の母の言動を理解することはできない。そのため、今までの価値観や考え方を変えて行かないと、認知症の介護は難しい。

 

今の時代、「多様化の時代」と言われるが、認知症もその一つかもしれない。
 
2020年1月11日(土)放映のNHKスペシャル認知症の第一人者が認知症になった」で、認知症医療の第一人者、長谷川和夫さん(90歳)が認知症になったという現実をどう受け入れたか放映されていた。

認知症介護をしている私には、認知症の母を理解する上で、非常に参考になった。
 
この番組の最後で、認知症が進んだ長谷川医師が「(認知症になった景色は)前と同じ景色、変わらない」と言っていたことが印象的だった。

他に番組の中の長谷川医師の言葉で印象的だったのは、以下の言葉。

・「確からしさが少なくなってきた」
  認知症の母も同じようなことを言ってました

・「一生懸命 一生懸命やってきて こうなった(認知症になった)」
  この言葉で、どんな人でも認知症は避けられないということを感じた

・「年をとると言うことは 容易でない」
  認知症の母を介護して、私がこれまで予想していた老後のイメージが変わった
  高齢になり認知症になると、生きるのが不安で辛くなる
  認知症の母は、「早くお迎えがこないかな」と何度も言ってます

・「生きがいはなんだろう」
  認知症になっても、生きる目的(生きがい)は必要だと思う
  私は、認知症の母に楽しんでもらおうと、一緒に”花作り”と”料理”をやっています
 
また、番組の中で、長谷川医師の娘さんが「(認知症の父を)認知症になっても”人がら”は変わらない」とも言っていた。
 
認知症は治らない でも、私たちにできることがある

この内容は、以下の本の副題である。この本は、今までに無い視点で書かれており、読む人によっては、「エッ何、この本!」と思われるかもしれない。

 「治さなくてよい認知症

  作者:上田諭
  出版社/メーカー: 日本評論社

この本は、私にはとても役にたった本の一つです。 認知症の人を介護する人、また、認知症になって悩んでいる人には、一度は読んでおいたほうが良い本ですね。なお、介護を含め認知症の経験が無い人には少々理解困難かもしれません。

この本には、次のようなことも書かれています。

『社会が認知症の人本人を肯定し(むしろ歓迎し)、周囲はその現状をまず受容して対応すべきと考えるのである』(p16)