シニアからの学び

介護・主夫業・花作り, etc. シニアから学びの日々が再び

認知症介護は別世界、そして自分の欠点がよく分かる世界だった

認知症の母を介護してから、強く思ったのが、あーこれは”別世界”だなということ。つまり、自分がこれまで生きてきた世界とは違うということです。

 

・ 母は自分が隠した財布が見つからず、「泥棒が入ったよ!」と言いながら家中をさがしたり、
・「これは後で洗濯するよ」といいながら洗濯物を山積みしたり、
・冬に「今日は暑いからこのパジャマ(夏のパジャマ)を着るよ」と言ったり、
・夜に失禁した下着を廊下に置いていたり

・・・もう、私の常識からしたら、「一体、何だこれは」ということを、母の介護の中で何度も経験しました。

 

私の母の認知症は、まだ初期の段階なので、まだまだ笑って済ますことができる程度ですが、認知症が進むと、これよりも、もっと、いままでの世界では、とても経験できなかったことを経験した人も多数いると思います。

 

 認知症の母を介護する中で、私からみたら、不可解で不合理な行動をたくさんみました。そのたびに、これまで経験してきた世界とは違うなと感じてきました。

 

そして、認知症の母を介護して初めて分かったのが、自分の(性格上の)欠点がよく見えることでした。母の不可解で不合理な行動が、私の欠点をクローズアップしたようです。 


認知症の全ての人に現れる症状(中核症状)

認知症は脳の病気で、一般的に以下が認知症の中核症状と言われています。

①記憶障害・・・5分前のことを忘れてしまう
見当識障害・・・時間や場所、人がわからない
③実行機能障害・・・物事の手順がわからない
④失語、失算、失認、失行・・・言葉が出ない、それがなにかわからない

 

時に、生活に支障がでるのが、①の記憶障害ですね。これがあるから、物が無くなったといい、片付けもできなくなり、物を同じ位置に戻すことが困難になります。

 

正月明けのある日、母が「財布のお金を泥棒が取っていって、お金が少なくなっていると」と言い出しました。エッ何故?と考えていたら、私の娘達にお年玉をあげたのを忘れていました。

 

また、母は②の見当識障害のため、月や季節の感覚がなくなるので、部屋が暑いと、冬なのに夏服を着たり、雨が何日か続くと「もう梅雨だね」と言っています。

 

③の実行機能障害のため、母は得意だった料理がほとんどできなくなりました。今は、味噌汁や簡単な煮物ぐらいしかできません(いつか、これらもできなくなると思います)。

 

 ■人により現れ方が異なる症状(周辺症状)

 

中核症状が引き金になって起り、本人の気持ちや環境が大きく作用するのが周辺症状(BPSD)で、主なものは以下です

①徘徊・・・家を出て帰ってこれなくなる
②妄想(被害妄想)・・・もの盗られ妄想、嫉妬妄想など
③暴力・・・暴れだし暴言を吐く
④幻覚(幻視)・・・存在しないものが見える
⑤不潔な行動・・・失禁した下着などをしまい込むなど

 

なお、中核症状は治りませんが、この周辺症状は薬や介護方法によっては軽減できる場合があります。私の母の場合、薬を何度か調整し、介護方法を見直すことで、②の妄想(被害妄想)は少なくなりました。


認知症介護で自分の欠点がよく分かった

認知症の母を介護していて、自分の欠点によく気づかされました。気づかされた自分の欠点が以下。

①母が物を同じ所に戻さないとすぐにイライラする・・・小さなことに妙にこだわる
②母が同じ事を何度も聞くとすぐに怒る・・・短気な性格
③一貫性が無い(ある時はA、あるときはB)母の行動にイライラする・・・融通が利かない、堅物
④物の位置が少しでもずれているとイライラする・・・妙な完璧(潔癖)主義
⑤汚い物に触れると手を何度も洗う・・・異常なほどの潔癖症(軽い強迫神経症
 ⑥母は洗濯すべき物をポンポン適当な場所に置くので怒りたくなる・・・潔癖症&短気な性格

これまでは、家族含め周りの人も多少気を遣ってくれるので、自分の欠点はオブラートに包まれています。

しかし、認知症の母に、そんな余裕はありません。認知症の母を介護する中で、自分の欠点が見えるので、時々、情けなくなります。 

 

■自分の性格上の欠点は、できるだけ抑えるようにしないと介護がきつくなる

私は、小さなことにこだわり、短気で融通がきかず、妙な完璧主義のガチガチ頭で、異常なほどの潔癖症です。人間なので、自分の欠点を完全に直すことはできませんが、一時的に棚上げしたり、できるだけ抑えるようにしないと、介護がきつくなります。