私は、認知症の母を介護するまで、認知症には人並み以上に理解していると思っていました。認知症関係の本もいくつか読み、テレビの認知症関係の番組にも関心を持っていました。さらに、認知症予防にも関心を持っていました。
しかし、認知症の母を介護して、それまでの自分の知識がいかに貧しかったか分かりました。もう、認知症をほとんど理解していないと同じ状況でした。
何故だろう? あれほど認知症には関心があったのに?
認知症と言えば、新しい記憶が無くなる、徘徊する、生活が出来なくなる・・・だいたいこんなイメージでした。
でも、認知症には代表的なアルツハイマー型(テレビの内容はほぼこれ)以外にも、いくつかあり、脳血管性、レビー小体型、前頭側頭型なとがあり、母は、レビー小体型の認知症でした。
このレビー小体型の認知症は、気分の変動が激しく、母は突然、気分が落ち込むことがありました。レビー小体型の認知症は”うつ病”と間違われることもあるそうです。
なお、記憶障害は少なかったですが、妄想や暴言が激しく、私の対応が悪いと被害妄想に加え、暴言が始まりました。ただ、よく言われていた徘徊はありませんでした。
母の認知症の状況は、これまで私が理解していた認知症とは違ってました。実は、認知症の症状は、人により、また、認知症の進行具合により違ってきます。
認知症に対する思い込みを捨てて、状況を素直に見る柔軟な姿勢が大事だと思います。
実は、認知症の症状には”中核症状”と”周辺症状”があり、記憶障害は中核症状の一つで認知症のほとんどの人に現れ、徘徊は周辺症状の一つで、人により現れない場合があります。
認知症の症状には中核症状と周辺症状があり、
中核症状は認知症になればほとんどの人に現れる症状、
周辺症状は周囲の環境や対応、その人の性格などに現れる症状
中核症状には、”記憶障害”以外に、日時・場所が分からなくなる”見当識障害”、物事の手順が分からない”実行機能障害”や、失語・失行・失認といった症状もあります。これは薬により進行を抑えることができますが確実に進行します。
なお、周辺症状は、徘徊以外に、暴言や暴力、興奮、抑うつ、不眠、昼夜逆転、幻覚、妄想、せん妄、もの取られ妄想、弄便、失禁などがあります。母は周辺症状として、妄想、暴言、抑うつがありました。
周辺症状は、人により表れ方が違い、実は、私が母の介護で辛かったのは、この周辺症状(妄想、暴言)でした。
しかし、この周辺症状、薬と共に、介護方法によって改善します。介護が良ければ、弱くなります。母も、私の対応が良いと、安心するのか、妄想、暴言は少なくなりました。ただし、なかなか難しいですが。
母を介護して初めて少しずつ認知症を理解することができました。でも、本来は、母が認知症になるまえに、もう少し認知症を正確に理解すべきでした。