(レビー小体型)認知症の母の介護で、ダメだと知りながら実行できないのが、”母の行動を否定したり、責めたりすること”。認知症の介護の中では、「責めること」は絶対にやってはいけません。
私が母の行動を責めると、必ずといっていいほど、母は被害妄想になり、ときには、数時間以上、暴言を言い続けます・・・これが分かっているのに、私は、なかなか母を責めるのを、止めることができません。なかなか難しいです。
そこで、何故、認知症の母の行動を責めるのか? 今、私がとっている対策を紹介します。更に、認知行動療法の「認知のゆがみ」というのも紹介します。人の考えには「認知の歪み(ゆがみ)」があり、間違った判断をしてしまうというもので、介護をする上でも役にたちます。
なお、認知症の介護では、次のことは絶対にやってはいけないということになっています。簡単にいうと、 ”認知症の人を責めてはいけない” ということです。
①叱りつける
②頭ごなしに怒鳴る
③命令する
④強制する
⑤急がせる
参考図書:
■何故、認知症の母の行動を責めるのか?
①認知症の母は、記憶が失われる中で、いつも不安で、何かをしようとして動くので、休ませようと、”ゆっくりしたらいいよ、休んでね!”と、ついつい言ってしまう。
②母は何をするのか予測がつかないので、過剰に母の行動を先読みして、”あー、それはしないで”と、ついつい言ってしまう。
③母が何か行動すると、片付けをしなかったり、物の配置が変わるので、その後のフォローが大変で、”あー、それはダメ”と、ついつい言ってしまう。
■認知症の母の行動を責めない、私の対策とは
(注)まだ、完全に実行できていないものもあります
母は、認知症になり、記憶障害が進むにつれて、だんだん不安になってきており、不安を和らげる”対話”をすることはとても大事です。
①できるだけ母と対話して、母の不安を和らげる。「90歳に近くなってくると、もの忘れが多くなり、昔のように行動できなくなるよ」と何度か言うようにしました。
②母の行動に神経質にならず、見守ることが大事。「また、失敗するかも」など、憶測で先読みしない。考えている以上に、母なりに考えて、きちんとやっていることが多い。
③なんでもかんでも完璧にやろうとしない。認知症の介護にとって”完璧主義”は大敵。
■知っておきたい、認知行動療法「認知のゆがみ」
私が以前読んだ本で、バーンズという人が書いた『フィーリングGoodハンドブック』という本の中に、認知行動療法の「認知のゆがみ」というのがありました。
人の考えには「認知の歪み(ゆがみ)」があり、間違った判断をしてしまうというものです。とても役立つ内容なので、以下に紹介します。
特に、以下には注意したいものです。
・また起きるのではないかと考えてしまう「一般化のしすぎ」
・失敗するのではないかと先読みする「結論の飛躍」
・いつもこうすべきと考える「すべき思考」
・なんなんだから(認知症だから)こうしてしまうという「レッテル貼り」
認知症の介護をしていて、この「認知のゆがみ」に気づき、少しでも改善すると、とても役立つと思います。
バーンズの「認知のゆがみ」
1. 全か無か思考
物事を極端に白黒つけたがり、オール・オア・ナッシング、○×思考で考えること。
2. 一般化のしすぎ
何か悪いことが起こったときに、それがまた起こるに違いない、それが起こる運命なのだ、というように一般化して捉えてしまうこと。
3. 心のフィルター
考えることがネガティブなことばかりで、「マイナス」のフィルターを通して物事を見ていること。
4. マイナス化思考
良いことや何でもないことを、悪いことにすり替えてしまうことです。
5. 結論の飛躍
事実とは違うのに、悲観的な結論に飛躍してしまうことです。これには、次の2種類があります。
①心の読みすぎ
人の態度や言葉を、悪い方に深読みしてしまうこと。
②先読みの誤り
これから起こることが不幸なことばかりだと信じ込んでしまうこと。
6.拡大解釈と過小評価
悪い面ばかり大きく捉え、良い面をあまり評価しないこと。
7.感情的決めつけ
感じていることが、真実であるように考えてしまうこと。
8.すべき思考
「~しなければならない」「~べきである」と考えて、追い込んでしまうこと。
9.レッテル貼り
根拠もないのに、ネガティブなレッテルを貼ってしまうこと。
10.個人化
良くない出来事が起こったときに、何でも自分のせいにしてしまうこと。
参考図書: