フランスの哲学者アランが書いた世界的に有名な「幸福論」から、私がとても好きな言葉を紹介します。参考にしたのは以下の本です。
この本の23章は「巫女の心」という少し妙なタイトルだが、最も好きな章の一つです。説明のため、少し長く引用します。
『開墾である。ぼくは木の幹一本、枝一本が切られるのを見るだけで胸が痛む繊細な女性を知っているが、木こりがいなければ、藪や蛇や沼や熱病や餓えがすぐにまた現われるであろう。同じようにして、人はおのおの自分の気分を開墾する必要がある。自分の気分を否定すること、それはまさにものごとを軽々しく信じないことである。この世界は 鉈鎌 と 斧 によって開かれている。夢や幻を追い払ってできた並木道なのだ。
(中略)
ほんとうの人間は、自己を揺り動かし未来をつくり出すのである。』
この分は、少し、並び替えると分かりやすくなります。以下は上記の分を並び替えた文。 は私が追加した所。原文は、例えが先に来ているので、少し分かりづらくなっています。
「ほんとうの人間は、自己を揺り動かし未来をつくり出すのである。
そのためには、人はおのおの自分の気分を開墾する必要がある。自分の気分を否定すること、それはまさにものごとを軽々しく信じないことである。
ぼくは木の幹一本、枝一本が切られるのを見るだけで胸が痛む繊細な女性を知っているが、木こりがいなければ、藪や蛇や沼や熱病や餓えがすぐにまた現われるであろう。」
胸が痛む繊細な女性・・・自分の気分
木こり・・・・・・・・・自己を揺り動かし未来をつくり出すもの
どうだろう。少しは分かりやすくなりませんか。
この23章「巫女の心」は以下のことを言っているように感じますね。
①自己を揺り動かし未来をつくり出す
②その為には、自分の気分を開墾する必要がある
・自分の気分を否定する
・(自分の感じ、印象だけで)ものごとを軽々しく信じないこと
「自己を揺り動かし未来をつくり出す」 なかなか勇気をもらえる言葉です。
気分に左右され、じっとしている自分を、揺り動かし行動することが大事だとアランは言っています。
「人はおのおの自分の気分を開墾する必要がある。」 これも好きな言葉ですね。
理由もなく感じる思い、モヤモヤした嫌な気持ちなどに、行動が左右されがちです。アランは、こんな気分を切り捨てていかなければいけないと力強く言っています。