シニアからの学び

介護・主夫業・花作り, etc. シニアから学びの日々が再び

家族について ~アラン「幸福論」から考えたこと

私は実家にいて親を介護、嫁は自宅にいて自分の親を介護、それぞれ認知症の親を介護するという状況で、娘二人含め家族をどう守るのか、なかなか難問です。そこで、自分の頭の中を整理する意味で、今回は、家族について、チョット書きたくなりました。

 

「家族って何だろう?」「家族が助け合い楽しく暮らすためには?」、簡単なようで、私には一番難しいテーマ。

 

なお、家族を考える上で、愛読書のアランの「幸福論」はとても参考になりましたので、アランの言葉も紹介します。皆さんにも、参考になるかもしれません。

 

家族は本音がだせる関係、だからこそ衝突も多い・・・でも衝突があるからこそ理解が深まり、お互いに共感しあえる関係になっていく・・・そんな気がします。お互いが成長していく関係が家族かもしれませんね。

実は、愛読書のアラン「幸福論」には、家族に関するアドバイスがいつくかあります。アランは哲学者でありながら、家族について、ピリリと辛口で、それでいて、暖かい実務的なアドバイスをしています。

 

私と嫁で、お互いの親(それぞれ、母が認知症)を介護。介護、特に認知症の場合は、介護にフルパワーが必要。そのため、それまでの家庭生活が激変し、家族の中が少々ギクシャク。嫁とも衝突することが多くなりました。

 

そこで、これではマズいと気づき、家族について、今一度考えてみることにしました。その時に、参考にしたのが愛読書のアランの「幸福論」です。

 

特に、印象を受けたのが、アランの次の言葉。あー、やっぱりそうだった!仕事中心で、家庭のこと考えているようで、大いに努力したかと問われると、やっぱり疑問。

 

『だれでもみんな、商売のため、職業のためだったら、大いに努力をする。ところが、ふつう自分の家に帰って幸せであるためには何もしないものだ。』
(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”36  私生活について”から)

 

そして、”35  家庭の平和”という章に書かれた、①~③のアランの言葉は、私に、家族について教えてくれました。いずれも、「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 からの引用です。

 

①『家族の秩序とは法の秩序のようなものだ。ひとりでにつくり出されたものではない。意志によってつくり出され保持されているのだ。』

 

一緒に生活していると、様々なことが起きます。自然災害、事故、病気、教育、介護、仕事、などなど様々な問題が発生。でも、大きな問題は、解決しないとダメなので、どうやって立ち直るか考えますね。

問題は、家庭の中の、日々の小さな問題。チョットした意見の食い違い、サポートが必要なのにそれに気づかない、余計な言葉・行動・・・などなど。

私なんかは、余計な言葉のオンパレード。とにかく思いついたら即言葉。そして、嫁曰く「あんたは言い方下手よね。言い方変えたら、すごくいいのに」そうなんです。言い方もつっけんどんです。

道元禅師の言葉に「言おうとしていることが、相手にも自分にも良いか、3回考えて、よければ話しなさい」というのがあります。いくら家族であっても、大事なこと、相手が気にすることは、これを守りたいですね。

 

②『家族の中では、とりわけ家族どうしが深い愛情で結ばれている時には、気がねをする者も、仮面をかぶる者もいない。』

 

③『礼儀作法は親密なかかわりをもたない人たちのためにあり、機嫌は、上機嫌も不機嫌も、親密な者のためにある。』

 

やはり、家族は、本音がだせる関係、そして、上機嫌も不機嫌も、そのまま出しても良い関係ですね。本音をだしても、上手く吸収してくれる関係こそが、家族だとアランは、言っています。不機嫌、ためるとダメですね。常に小出しして、家族の中でガス抜きをしたほうが良いです。”不機嫌のガス”がたまると爆発します。

 

そして、家族、夫婦が助け合い楽しく暮らすために、何が一番必要かと考えたとき、私は 「笑顔と暖かさ」「信じる」「最強の味方になる」 だと思います。

何があっても「笑顔」があれば前向きになれます。「笑顔」は「暖かい気持ち」から生まれますね。そして、何があっても一喜一憂せず「信じる」。

そして「最強の味方」が家族。家族の絆は何があっても切れません、最強です。さらに、どんな問題が起きても、最後にサポートしてくれるのが家族ですね。

 

長くなりましたが、最後に、夫婦のことについて書かれた言葉を紹介します。私にも思い当たる節があります。嫁に、いらだちまぎれにふと口をついてでる言葉、言った後、あーこれはマズいことを言ったと思うけど、時既に遅し。

 

でも、アランは言います、そんな言葉など、一笑に付すことができなければならないと。実に見事な見解です。嫁にも教えようかな? まあ、だからと言って、許されるわけではないので、こんな時は、素直に謝りましょう。

 

『仲のよい夫婦のあいだで、いらだちまぎれにふと口をついて出たことばが、愚の骨頂を呈することがよくある。そういう見事な即興のことばなど一笑に付すことができなければならない。』
(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”72  罵詈雑言”から)