シニアからの学び

介護・主夫業・花作り, etc. シニアから学びの日々が再び

認知症介護の大変さは分かっても、辛さは経験しないと分からない

認知症の母の介護を始めた頃は、介護の難しさや辛さを、なんとか身内の人には分かって欲しいと考え、介護の状況を細かく報告していました。

でも、「大変だね」という返事は必ずきますが、認知症介護の本当の辛さが、なかなか理解してもらえないことに気づきました。

 

こういう私でも、実は、認知症の介護の大変さは、以前から知っていましたが、その辛さが分かったのは、実際に認知症の母の介護をしてからでした。

 

認知症介護の大変さは分かっても、辛さは経験しないと分からない」というのが分かり、以前のように、なんとか身近な人に、認知症の介護の辛さを分かってもらおうという焦りは無くなりました。

ただし、母の状況が悪化したとき応援してくれるよう、出来るだけ具体的に、母の状況を身近な人には連絡しています。

 

認知症の介護をしていると、どうしてそんな行動をとるのか、理解出来ないことが多々あります。レビー小体型認知症の母の場合、以下のような?の行動があります。

簡単に言うと、ふだん私たちが当たり前のように出来ていることが、記憶障害などで出来なくなり、生活しながらフォローしなければなりません。

料理・洗濯などの家事をしながら、母が混乱している生活をフォローするのは、男性の私にはとても大変で辛いです。

①「何で自分はこんな目に会うのか」と母の被害妄想が始まり、次には、私や周りの人達への暴言が始まり、それが延々数時間続く。こうなったら、黙って聞くしかない。

②夜、失禁した下着を廊下などに平気で置いている(後で洗濯するつもりで忘れている)。

③物を片付ける場所が違うことが多く、物を置いている場所も忘れることがある。

④服を片付けることができず、汚い物と洗濯した物が一緒に置かれ、分からなくなる。このため、衣替えの時は非常に混乱する。

⑤冬でも暖房で少し暑いと、夏と勘違いし、夏のパジャマで寝ようとする。

 

このような母の行動をフォローするのは、家事の苦手な男性の私には、とても辛い時があります。だからといって、母に文句を言ったり、怒ったりすると、今度は、母の気分が落ち込み、被害妄想や暴言が始まるので、母には出来るだけ何も言わず、対応しています。

また、私は潔癖症のため、母が失禁した下着を片付けるのには、とても抵抗があり、精神的にかなり辛い時があります。更に、母が物が置かれている場所を変更するたびに、元の場所に戻すので、これも、なかなか大変です。 

 

介護の辛さは、介護される側の認知症の進み具合や現れる症状、そして、介護する側の受け取り方で違います。

 

なお、全く同じ症状の認知症の場合でも、介護する人の性格や考え方で、辛さが異なります。介護する側が、私のような極端な潔癖症、完璧主義があると、認知症の母の行動で、他の人が気にしないことでも、かなり気になることがあります。

 

実は、認知症の介護の辛さが共有できる場があり、私の場合は、地元での「認知症家族の会」でした。ここに参加して、私よりも、もっともっと辛い経験をした話を聞き、また、参加している皆さんから「男性一人で大変ね。きっといいことがあるよ」と慰められると、少し肩の荷が下り、介護の辛さが和らぎました。

 

もし、認知症の介護が辛いと感じたら、地元の「認知症家族の会」や「認知症カフェ」に参加されると、生の介護の辛さを聞くことができ、また励まされるので、辛さが和らぎ、勇気をもらえます。

 

認知症の介護の辛さは、自分または同じような経験をした人にしか分からないというのが私の正直な気持ちです。

ただし、自分一人では、認知症の介護は無理です。いろんな場面で協力してもらえるよう、家族、兄弟、仲の良い友人、近い親戚、ケアマネージャーなどには、時々、介護の状況を連絡したほうが良いですね。

 

私は、身近な人(兄弟、友人、親戚)に、認知症の母の状況を連絡することで、少しずつですが、介護の大変さを知ってもらい、励ましの言葉もかけてもらいました。

また、高校の同窓生にも、母の介護の状況を連絡することで、同じ経験をした同窓生の方から、励ましの手紙をもらったのは、本当に嬉しい出来事でした。