シニアからの学び

介護・主夫業・花作り, etc. シニアから学びの日々が再び

私が認知症介護で大切にしている8つの心がけ

母の認知症の介護をしていると、ついつい私の悪い癖が出て、小さな事にこだわり判断を間違ったり、融通がきかず効率が悪くなったり、物事の悪い面ばかり見がちになります。

また、認知症の母の予期せぬ行動に不安になったり、慌てたりすることがあります。そこで、私が認知症の母の介護で、大切にしている心がけが、次の8つです。

 

①一喜一憂しない(長い目で見る)

②ボチボチやっていく(焦らず、ゆっくり)

臨機応変に対応する

④機を見て動く

⑤一事は万事でない

⑥なんとかなるさ(悩みすぎ、考えすぎは毒)

⑦先入観をできるだけ無くす(素直に見る)

⑧過敏にならない(大らかに考える)

 

■一喜一憂しない(長い目で見る)

これは、精神科の先生から言われたことです。あるとき、私が、母の毎日の状況を詳しく説明した時、精神科の先生が言われた言葉が以下でした。

「もう少し長い目で、お母さんの状況を把握した方がいいですよ。例えば、一週間の単位で、状況がどのように変化するか、その程度で良いと思います。」

私は、細かい性格で、ついつい母のちょっとした行動にも敏感で、すぐに不安になったり、何か対策を考えようとします。しかし、母の行動を、あまり神経質に考えると、判断を間違えることがあります。

例えば、あるとき、洗濯機の操作ができなかったとき、「あー、母は電気製品の操作も不自由になった」と勘違いしたことがありました。このときは、たまたま、操作を間違っただけでした(誰にでもあることです)。

認知症だから、こんなこともできなくなるのでは?と不安になり、その結果、チョットした行動にも敏感になったり、不安になったりしがちですが、一喜一憂せず、長い目で見た方が、正しい判断ができるようです。

 

■ボチボチやっていく(焦らず、ゆっくり)

これも、精神科の先生から言われたことです。私が、母を精神科に認知症の治療で連れていったとき、母の状況を書いた紙に「最近、もの忘れが多く困っています」「何度も同じ事を聞いてくるので疲れます」と書いていると、精神科の先生は「歳をとると、忘れっぽくなりますよね。心配ないですよ。ボチボチやっていきましょう」と、母と私に何度か話してくれました。

 

私は、心配性のせっかちなので、ついつい焦ることが多く、極端に母のことを心配することがあります。また、行動もせかせかになりがちです。

でも、焦りやバタバタした行動は、認知症で動作が遅くなった母にはよくないです。あまり、母をせかすと、突然、「私は何もできなくなったよ」と母が落ち込みことがあります。

 

認知症の母が落ち着いて生活するには、「ボチボチやっていく」精神で、焦らず、ゆっくりした行動をすることが大事です。

 

臨機応変に対応する

臨機応変は「その場に応じて変化し、その変化に応じて適当に対応すること」の意味ですが、認知症の母の行は予測がつかないので、この対応がとても大事でした。

 私が何かしていると、突然、母が「財布が無くなった」「泥棒が入ったみたい(いつもとも物の位置が違っていて)」と言ってきたり、突然、ご飯が足りないと言って、突然、ご飯を炊き始めたりします。

また、母の行動には一貫性が無く、あるときはAなのに、別の日にはBになります。例えば、寝るときに、電灯を消すか/常夜灯にするかなど。

介護の最初の頃は、母の突然の行動に怒ったり、一貫性の無い行動にイライラしていました。

でも、認知症の母には、突然の行動も、一貫性の無い行動も、記憶障害があるので、仕方がないことです。最近は、認知症の母には、余裕を持って、臨機応変に対応することが必要だと感じています。

 

■機を見て動く

「機を見て動く」ということも大事ですね。何か武士道みたいですが、最近は、母の行動を見て、母が何かしたいことがあれば、サッと動くようにしています。これだと、母もスムーズに行動するようです。

例えば、母は時々「今日の昼飯はいらないよ」と言って、じっとしていることがあります。私も、「あー食べたくないんだな」と思いつつ、しばらく待っていると、突然、動き出し、昼飯の準備をしようとしています。この時に、サッと動いて、一緒に昼飯を準備すると母も食べます。

このように、様子や行動を見て、何かをする(したい)タイミングであれば、サッと動き対応してあげるという、「機を見て動く」というのも大事ですね。

 

■一事は万事でない

一つのことを見たら、他のことも分かるという「一事が万事」。

実は、私は、介護する前まで、この「一事が万事」という意識が強く、チョットしたことで、「あーこれはこうなんだ」と断定してました。お陰で、先入観の強い性格でした。

でも、認知症の母、特にレビー小体型認知症の場合には、気分の変動が大きく、調子の良いときと悪いときの波が激しいので、認知症の母の行動を「一事が万事」という意識でみると、判断を間違ってしまいます。

まあ、認知症でなくても、人には調子の波があるので、「一事が万事」で人の行動を判断すると、間違うことも多いと思います(特に、認知症の場合は、間違う可能性が高い)。

なお、「一事は万事でない」は「一喜一憂しない」につながりますね。

 

■なんとかなるさ(悩みすぎ、考えすぎは毒)

認知症の介護をしていて、いろいろ悩むことがありました。

考えても、考えても、良い考えが浮かばないとき、時間ばかりが過ぎていきました。

でも、あるとき、いろいろ悩んだ後、フッと浮かんだのが「なんとかなるさ」でした。

そこで、もうそれ以上考えるのをやめて、なりゆきに任せ、行動してみることにしました。そうすると、意外にスイスイ、物事が進むことに気づきました。

最初から、「なんとかなるさ」ではダメだと思いますが、いろいろ考えて、それでも結論がでないときは、「なんとかなるさ」と諦め、次の行動に移ると良いと思います。

 

また、認知症の母が、あまりにも変な行動をするので(仕方がないのですが)、ついつい怒ってしまい、母と口論になることもありました。こんなときは、悪いのは自分なので、何故、口論したのかと、自分を責めていろいろ考えます。しかし、二度と口論はしないぞと誓うのですが、なかなか良い解決策は見つかりません。

こんな時も、母が(認知症で)口論したことを忘れてくれることを願って、「なんとかなるさ」と考えています。実際に、次の日は、母は口論したことを忘れていました。

ただし、口論したときの嫌な感情は残るので、やはり、口論はダメですね。できるだけ、穏やかに介護するのが一番です。

 

■先入観をできるだけ無くす(素直に見る)

認知症の母を介護していると、本で読んだことが頭に浮かび、「認知症だから、こんなことはできない」と、ついつい考えてしまいます。

また、何か失敗したときも認知症だから・・・は、できない」とレッテルを貼ってしまい、ついつい、「・・・は、できないという」という先入観で、母の行動を見ることになり、判断を間違うことがあります。

また、一緒に料理を作っていると、母の野菜の切り方が上手いことに驚き、また、料理の作り方、洗濯などの家事をやっているとき、母から教えられることも多々あります。

普通の生活でも、「先入観(レッテル貼り)」を持っていると、判断を誤ることがありますが、認知症の介護の生活では、特に先入観をできるだけ少なくして、現実をただ素直に見ることが大切だと思います。

 

■過敏にならない(大らかに考え、淡々と過ごす)

私は神経質な性格で、ガチガチの頭なので、認知症の母の行動に過敏に反応しがちです。

でも、私からみたら変な母の行動も、母からみたら、何らかの理由があって行動していたり、そうせざるを得ない行動があります。そんな、母の行動に、私からアレコレ言われると、母は「あんたは、いつも、私を監視している」「あんたには迷惑をかけていないよ」と反論され、時には、母と口論になってしまう。

認知症の母の行動には、もし、大きな問題が無ければ、過敏にならず、大らかに考え淡々と過ごすほうが、介護生活が穏やかになると思います。