フランスの哲学者アランの「幸福論」、もともとがフランス語なので、日本語に訳した表現が少々分かりづらい所があり、多少読みづらいですが、アランの「幸福論」は、日常生活に役立つ言葉、勇気をもらう言葉など、生きる上で大切なことをたくさん教えてくれる名著です。
私は、なんど読み返しても、あーそうなんだと新しい発見があります。哲学者と聞くと、いかにも難しいことを書きそうですが、アランの「幸福論」は、日常生活で役立つ内容を、簡単に表現しながら、とても的を得ていて、感心します。今回、紹介する”ほほ笑み”の効果も、なるほどと思いました。
アランは「幸福論」の中で、 ”ほほ笑み” ”笑い” の効果について、数多く述べています。有名な「幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ。」という言葉もありますね。
『しあわせだから笑っているのではない。むしろぼくは、笑うからしあわせなのだ、と言いたい』
(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”77 友情”から)
■アラン「幸福論」から”ほほ笑み”の効果
『ほほ笑むことや肩をすくめることは、思いわずらっていることを遠ざける常套手段で
ある。』
(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”12 ほほ笑みたまえ” から)
『ただほほ笑むまねをしただけでも、すでに人間の悲しみや退屈さはやわらいでいるのだ』
(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”63 雨の中で”から)
『ところでぼくは、人々の予想を上回るもう一つの効果にここで注意したい。このような親愛の情をぼくの方が見せると、武装して髪を逆立てて迫ってきたこの臆病者の士気がすぐに消えることである。要するに、流れてきた雲のように、たちまち落ち合った二つの気分のうち、一方の気分がほほ笑みはじめるだけでよいのだ。』
(「アラン 幸福論」 神谷幹夫訳 ワイド版岩波文庫 ”71 親愛の情”から)
実は、私には、”ほほ笑み(笑顔)”の効果を実感した経験がいくつかありますが、以下に2つ紹介します。
■単身赴任中 家族の笑顔は一番大きなパワーに
私は、単身赴任を12年間続けました。家族に、特に嫁には辛いことだったと思います。単身赴任中、1ヶ月に1回、自宅に帰っていましたが、辛いのは、自宅から単身赴任先の独身寮に戻るとき(食事がついているので単身赴任中は独身寮に住んでいました)。
でも、そんな寂しい状況を変えたのが”家族の笑顔”、これを見ただけで、心が温かくなり、単身赴任先に戻ることができました。何度、家族の笑顔に支えられたか分かりません。
■隣の家の人の評価が”ほほ笑む”だけで変わった
それまでは、あまり好ましく思っていなかった隣の家の人。あるとき、町内の回覧板を持って行ったとき、その人がほほ笑んでくれたんです。そこから、私の評価は変わり(単純な気もしますが)、それ以来、苦手意識がなくなり、そのせいか、その人も気楽に声をかけてくれるようになりました。”ほほ笑み”の効果ですね。
辛い時は、なかなか笑顔になれませんが、時々、鏡を見て、「アレッ、最近、笑顔が少ない」と感じたら、鏡の前で作り笑顔をしたらいいかもしれません。私は時々やりますが、なかなか”いい笑顔”は難しいですね。