またしても痛ましい事件が老老介護で起きました。誰にも打ち明けられぬまま、3カ月以上遺体とともに過ごしたのは、一人で介護していた同居の長女(69)。
「私が虐待していたと思われるんじゃないか、と思い通報できなかった」と、死体遺棄罪に問われ法廷に立った長女はそう語ったそうです。
母の遺体と暮らした3カ月 制度のはざまで孤立した「老老介護」の悲劇(産経新聞)
- Yahoo!ニュース
私も、認知症の母を介護する老老介護でした。その経験から、老老介護の問題、難しい問題だと思います。それぞれ複雑な事情があります、だから解決策も単純ではないはずです。
でも、老老介護で、一つだけ大事なことは、決して「一人では抱え込まないこと」、これは、私の経験から、大事だと痛感しています。
認知症の母を介護した私は、ケアマネージャーさんとよく話しました。そして、通院していた精神科の先生にも、母の認知症の状況を詳しく説明し、アドバイスをたくさんもらいました。
精神科の先生からは「共倒れにだけはならないように」と何度も注意されました。老老介護で介護する側がパンクする状況になったら、介護される側にも大きな影響を与えます。だから、私は、精神科の先生の言葉から、「自分の限界が近づいてきたら、母をグループホームに入れよう」と決めました。
そして、ケアマネジャーと相談して、いくつかのグループホームを見学して、複数に予約を入れました。これが正解でした。
母の認知症が進み、私も精神的に限界が近づいてきた頃、母とのいざこざが絶えなくなりました。その結果、ある日、母と言い合いしているときに、母が手にケガをしてしまい、整形外科で治療。もう、限界だと感じました。
その時でした、あるグループホームから、空きがでましたとの電話。これで、決心。妻と一緒に、グループホームに入る準備をして、母にも「同じ年代の人がいて、みんなと楽しめるよ。食事も洗濯も、専門の人がいて安心だよ」と何回も説得。母もようやく、行く決心をしてくれました。
そして、グループホームに入所する日が来て、施設の人と、母、妻、私と3人でグループホームに行きました。母を介護できなくなった自分の情けなさ、これで母も安心して暮らせるという安堵感、様々な気持ちがありました。
その後、母はグループホームで、施設の食事準備、洗濯たたみも手伝いながら、友達もでき、元気に暮らしています。あのとき、もし、我慢して、老老介護を続けていたら、もし、グループホームの空きがなかったなら、どうなっていたのか・・・
認知症の介護で、何が正解か私には分かりません。でも、ただ一つ言えるのは、認知症の母に、いつまでも元気で暮らして欲しいだけです。